千野 帽子/著 -- 筑摩書房 -- 2017.3 -- 901.3

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所蔵場所 請求記号 資料コード 資料区分 帯出区分 状態
しょこ /901/チ/ 121016588 児童一般 可能 iLisvirtual

資料詳細

タイトル 人はなぜ物語を求めるのか
タイトルカナ ヒト ワ ナゼ モノガタリ オ モトメル ノカ
叢書名 ちくまプリマー新書
著者 千野 帽子 /著  
著者カナ チノ ボウシ
出版者 筑摩書房
出版年 2017.3
ページ数 220p
大きさ 18cm
一般件名 物語
ISBN13桁 978-4-480-68979-5 国立国会図書館 カーリル GoogleBooks WebcatPlus
言語 jpn
分類記号 901.3
内容紹介 人は人生に起こる様々なことに意味付けし物語として認識することなしには生きられない。人間が「物語る動物」であることの意味をわかりやすく解説する。『webちくま』連載「人生につける薬」を加筆修正。
著者紹介 パリ第4大学博士課程修了。文筆家。公開句会「東京マッハ」司会。著書に「読まず嫌い。」「文藝ガーリッシュ」「俳句いきなり入門」など。

目次

はじめに
  人間の思考を解き明かす、ふたつのなぞなぞ/ストーリーは人を救いもするし、苦しめもする
第1章 あなたはだれ? そして、僕はだれ?
  1 あなたは「物語る動物」です
  できごとと時間とストーリー/ストーリーと物語とナレーション/人間は物語る動物である/「私」も物語の形をしている
  2 どんな内容の話が物語る価値があるとみなされるのか
  「できごと」と「状態」/日常的なできごと/「状態」と「括復法」の機能は似ている/描写が筋に喰いこむケース/報告価値とはなにか
  3 話にとって「内容」は必須ではない
  プロットに逆らう「些細な」記述/一九世紀ロシア小説の読みにくさ/小説にとってストーリーは、必ずしもメイン要素ではない/発話にとって「内容」は、必ずしもメイン要素ではない
第2章 どこまでも、わけが知りたい
  1 ストーリーと「なぜ?」
  雨はなぜ降ったのか/因果関係は認識者の思考にある/ジンクスと縁起担ぎ/因果関係が加わると、より滑らかなストーリーになる/フォースターの言う「ストーリーvsプロット」/噓でもいいから説明がほしい/前後即因果の誤謬/「ストーリー」は、人間の脳の認知の枠組
  2 説明の背後に、一般論がある
  納得できる説明は、あなたの手持ちの一般論に合致する/一般論はタイプ、ストーリーはトークン/一般論と科学と諺/教訓とは一般論のことである/うみのみずはなぜからい/宇宙論と存在論
  3 なぜ私がこんな目に?
  過度の一般化/「わかった」という麻薬的体験/不本意なことに注目してしまう/ストーリーは実存的な問に応えようとする/なぜ私が?
  4 感情のホメオスタシス
  ストーリーは「問題-解決」図式で動く/感情のホメオスタシス/求める着地点は「新たな平衡状態」/非常事態とは「旅」である/このあとどう決着をつけるのだろう?/決着がつかないと知ってても気になる/決着をすでに知ってても/だれのストーリーか?
  5 理由ではなく、意味が知りたい
第3章 作り話がほんとうらしいってどういうこと?
  1 実話は必ずしも「ほんとうらしい」話でなくていい
  「ほんとう」と「ほんとうらしさ」/「小説より奇」は、現実の特権/説得力の背後に格言がある/格言を拒否するケース/認知と一般論
  2 人は世界を<物語化>する方法を変えることができる
  『黒子のバスケ』脅迫事件の超偶然/モンタージュで因果関係を作り出す/<物語化>する作業/<物語化>のばらつき/冒頭陳述と「ウェブ世間」/最終陳述はライフストーリーを変更した/『生ける屍の結末』と『異邦人』/僕たちは事件の成り行きを「知りたい」のか? 「決めつけたい」のか?/可視化される「ストーリー依存症」/人間は世界を手持ちのストーリーで構成したい
第4章 「~すべき」は「動物としての人間」の特徴である
  1 物語における道徳
  因果応報と道徳/「一般論」と「べき論」/ふたつのmustは喰い違うことがある/道徳は好き嫌いの背後にある/間接的な好悪感情
  2 世界はどうある「べき」か?
  「ざまあ見ろ」/「公正世界」という誤謬/「公正世界」の誤謬の深甚な副作用/他責も自責も、根っこの仕組は同じ/不幸なできごとには必ず「悪い原因」があるのか?/「悪い原因」を見つけると、ストーリーはいちおうつながる/不幸なできごとに、どのようにストーリー的な意味づけをほどこすか
  3 僕たちはなぜ<かっとなって>しまうのか?
  因果関係をつなぐmust/感情的リアクションにおける因果関係/<かっとなって>の諸例/アルバート・エリスの「A・B・C」/無根拠なmustとしての信憑/感情的リアクションのストーリー化
  4 不適切な信念=一般論から解放される
  「自分は環境を変えるべきである」(must)か?/感情行為直結説と行為選択可能説のストーリー/自分の感情の赴くままに行動することは「自由」か?/ストア派哲学における「行為選択可能説」/アラン『幸福論』における「行為選択可能説」/南伝仏教における「行為選択可能説」/自分が自分の主人であるために
第5章 僕たちは「自分がなにを知らないか」を知らない
  1 「心の理論」とストーリー
  僕たちは「心の理論」を持っている/登場人物の意図を忖度する/ほんとうはややこしいイソップ寓話/鶏はほんとうに「騙されたふりをして騙した」のか?
  2 「知らない」とはどういうことか?
  オイディプス、国を出る/オイディプス、謎を解く/登場人物はなにを知らなかったか/問を胸に抱くということ/「知らない」のふたつの様態/問すら立てることができない対象/なぜ手術できないのか/「自分がそれを知らないということ」を自発的に知ることは可能か
  3 ライフストーリーの編集方針
  僕らは未知を恐れ、毎日惰性で石橋を叩いている/それでも僕らは毎日ミクロな虎穴に入っている/石橋のない崖にしがみつく/崖から手を放す/二度生まれの人/ストーリーメイキングの根本修正/信仰もまたストーリーになる/信仰も執着になれば手放す
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